警察犬

警察犬というと常に厳しい訓練に明け暮れ、犯人を追い詰めると勇猛果敢にとびかかる そういうイメージをお持ちの方が多いと思います。

私も飼い犬を警察犬訓練所へ預けるまでは、ドラマにでてくる警察犬のイメージしかありませんでしたので、自分で預けることを決めたにも関わらず、別れる際は涙が止まりませんでした。

わずか2キロにも満たない子犬が、大型犬に混じっていつもビクビクしながら、すみっこで固まって動かない。家庭犬としてのしつけ教室も行っている訓練所だったので、しつけができていないビジターの犬にいじめられ、けがでもするのではないか。

期待ももちろんありましたが、それと同じくらい不安もあり、1ケ月くらいはいつ訓練所から電話がかかってくるかとひやひやして過ごしました。

通常の生活の中では、警察犬に接する機会もなかなか無いと思います。こちらでは、普通の家庭犬が警察犬になるための訓練受けていくにあたって、飼い主の私が知ったこと気づいたことを書いてみたいと思います。

直轄警察犬と嘱託警察犬

・直轄警察犬

警察犬は誰が所有しているかによって「直轄警察犬」と「嘱託警察犬」に分かれます。

警察が所有し訓練しているのが「直轄警察犬」で、警視庁では30数頭が登録されています。

警視庁の「直轄警察犬」については、インターネット上で色々な情報を見ることができます。警視庁では「直轄警察犬」のトイレが設置されており、彼らは朝晩ほぼ決まった時間にトイレで用をたします。日中はもちろん夜間も訓練を受け、犯罪捜査の解決に結びつくよう頑張ってくれています。

興味のある方は「警視庁警察犬」をクリックしてください。(警視庁のサイトへ飛びます)

人間のために、一生懸命がんばっているエリートワンちゃんたちの訓練状況を観ることができますよ。

「直轄警察犬」を所有しているのは警視庁だけではありません。ご自分が居住している都道府県警のホームページをのぞいて見ると、治安維持・犯罪捜査のために地元で頑張っている警察犬に会えるかもしれませんよ!

・嘱託警察犬

一方「嘱託警察犬」は一般家庭のいわゆるペット犬です。訓練を受け審査会で合格すれば、晴れて「嘱託警察犬」の称号を与えられます。

通常は私のように訓練所へ預け、修行し審査会へ臨みますが、数年単位での訓練が必要です。

私の愛犬「もち」は、大型犬がいても平気な性格だったので、例外的に8か月の期間で審査を受けましたが、やはり合格できませんでした。

そして警察犬となると、その犬の特性も大きく関係し、ただ頭が良いだけではなかなか難しいらしいのです。

訓練所に預けるとお金もかかりますので、自分のワンちゃんを警察犬にしたい!と思われた方は、ベテランの訓練士さんとご相談されてくださいね。

警察犬に全く向かないワンちゃんを何年も訓練させても、お金と時間が勿体ないですものね。

私がお世話になった訓練所では、4か月預かれば警察犬に向いているかどうか判るので、とりあえず4か月預かりましょうと言われました。

4か月子犬を訓練所へ預けると、警察犬になるならないは別にして、かなりお利口さんになって帰ってきます。

一番可愛い時期を一緒に過ごせない寂しさはありますが、その後の犬生や飼い主さんのストレスの軽減を考えると、一つの選択肢だと思います。

このように書きますと、いかにも私はトイプードルの「もち」を生後5か月からずっと訓練所へ預けているかのようですが、実は預けっぱなしだったのは最初の1か月のみです。

事情があり、1か月で「もち」を訓練所から連れて帰った後は、通いで頑張ることになりました。

毎朝仕事前に約1時間かけて「もち」を訓練所へ連れていき、夕方仕事帰りに迎えに行く、そのような事を約1年続けました。

可愛い愛犬の成長を近くで見ることができる喜びはありますが、時間もガソリン代もかかりとても大変な1年でした。訓練所が近くにある方や、通勤途中にある方は良い方法だとは思いますが、そうでない方にはあまりお勧めはできません。

警察犬訓練士さんによると、訓練所に預けている犬でも、最初のころは1晩寝ると 前日の訓練ではできたことが8割になってしまうということです。さらに毎日家に連れて帰るとなると、飼い方によっても大きく違うらしいのですが、通常は前日できたことが5割まで落ちてしまうとのこと。つまり通いでの訓練となると、訓練所へ預けるより時間がかかってしまうのです。

苦労したうえに、なかなか成果が出ないのはつらいですよね。

「もち」の場合、担当の訓練士さんが独立され、近くの公園などでの訓練へ切り替えることができたので、とてもラッキーでした。

ところで「嘱託警察犬」で有名なのは茨城県警の「アンズ」ちゃんですよね。

全国でも珍しいトイプードルであるということ、そして保護犬であるということで、一躍有名になりました。

「もち」が警察犬を目指すきっかけになったのも「アンズ」ちゃんの存在があったからです。今後の活躍を楽しみにしています。

・警察犬の種類

警察犬の種類と書くと、ジャーマンシェパードとかラブラドールレトリバーなどの犬種を想像される方が多いと思いますが、ここで書く警察犬の種類は、仕事内容で分けられるつまり役割分担という意味の警察犬の種類です。

私も自分の犬を訓練するまでは、1匹の犬が犯人の遺留品の臭いを選別し足跡追及を行い、犯人を追い詰め威嚇しながら逮捕・捕獲の援助を行う と思っていました。

まさにドラマで出てくる警察犬のイメージそのものです。

もちろんそのような優秀なワンちゃんも沢山存在すると思います。

警視庁のような、ソフト面でもハード面でもとても整った環境にあるワンちゃんたちの中には、全てを1匹でこなすエリート中のエリートもいるはずです。

ただ人間にも個性があるように犬にも個性があり、得意分野もそれぞれ違いますので、少なくとも個人が管理している嘱託警察犬に於いては、数種類の専門別で試験が行われます。

【臭気選別部門】

通常は5枚の布の中に、1枚だけ正解の布を混ぜ、犬がそれを選んでハンドラー(飼い主)へ持ってくるという動作を何回か繰り返します。

合格基準は各都道府県で違い、またゼロ解答(正解の布が無い)もあるようです。

【足跡追及部門】

犯人や行方不明者の足跡の臭いを手掛かりに追及を行い、遺留品等が有れば「伏せ」で捜査官に教えてくれる、一番警察犬としてはポピュラーで出番の多い部門です。特に昨今の高齢者社会の事情もあり、認知症などの高齢者が徘徊し行方不明になった時など、出動要請がかかることが多いようです。

【捜索部門】

足跡追及部門で合格した警察犬は、主に市街地(都市部)で活躍しますが、例えば犯人が山へ逃げ込んだとか、山で行方不明者がでた場合は捜索部門で合格した警察犬の出番です。

足跡追及部門のワンちゃんはテレビでよく観るように、鼻を地面に近づけて対象者の足跡を追いますが、捜索部門のワンちゃんは周囲に漂う対象者の臭いを手掛かりに捜索します。

活躍する場が山など起伏が激しい場所なので、大型犬が向いている部門ではあると思いますが、元気のよい小型犬で、この部門で合格しているワンちゃんもいます。

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